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日本語教師の皆様のための『授業に役立つ小さなアイデア集⑦ー教案の作り方【続】ー編』

日本語教師の皆様のための
『授業に役立つ小さなアイデア集⑦ー教案の作り方ー編』

『教案の作り方シリーズ』の、今日は「ウォーミングアップ」の最後の回です。

過去の記事はこちらにあります。
http://naruhodo-nihongo.com/?p=2024⑤
http://naruhodo-nihongo.com/?p=2051⑥

1.「ウォーミングアップ」←(今日はここです)
2,「導入」
3.「導入確認」
4.「文法のポイントと形の確認(練習A)」
5.「ドリル(練習B)」
6.「ミニ会話(練習C)」
7.「応用/展開」

前回、以下の定義づけを行い、この目次に沿って書いていますのでご参考下さいませ。

【1. ウォーミングアップ】

【目 的】
「緊張をほぐす」
「モチベーションを上げる」

【内 容】
①緊張をほぐすための雰囲気作りのゲーム
②季節/行事のことなど、日本の豆知識として紹介したいことなど
③過去の定着していない項目の復習を少しだけ(助数詞/形など)
④その日の授業に関連する物で、授業の入りに役立つもの←今日はここです。
⑤学習者との楽しい触れあいの時間←今日はここです。

 

今日も簡単です♬

④その日の授業に関連する物で、授業の入りに役立つもの
<例:「〜てもいいですか」を教える日。身近な場所の名前を引き出す。>

T:「みなさん、いつ福岡に来ましたか?」(福岡の学校だとします。)

S:「3月1日です。」

T:「3月1日?じゃあ、もう3ヶ月ですね。早いですね〜!」

S:「はい、とても早いです〜。」

T:「皆さんはこの3ヶ月、福岡でいろいろなところに行きましたか?」(←ここまでは、普通の雑談だと思っている)

S:「・・・あまり行きませんでした。毎日学校ですから。」

T:「そうですね。皆さんは、毎日学校とアルバイトが忙しいですね。でも、多分、少し行きましたよね。例えばコンビニ〜。」

(何カ所かは行きましたよね?と言いたいところですが、難しいと思いますので、「少し」という言葉でニュアンスを伝えています。そして、ここで、いろんな地名/観光地が出たら、それはそれで少し話を広げて、学習者の皆さんとの触れあいの時間にしてもらってもいいですが、あまり観光などしていない学習者の方が多いかもしれませんので、その時は「コンビニ」という単語を出して、「あ、観光地とかじゃなくて、そのくらいの身近な場所のことでいいんだ。」と安心?!してもらうことができます。あまり観光していないな・・・、という残念な気持にさせないために、「あ、そのくらいなら行ってる、行ってる」と、思ってもらうためです)

S:「あ、はい。コンビニとスーパーに行きました。」

T:「そうですか。では、よく考えて下さい(=思いだして下さい)。そして、10個、ノートに書いて下さい。」
(この時「個」を「箇所」にして新しく教えても良いですが、必要ない場合はこのまま「個」でいいと思います)

S:「先生、10個、ありませ〜ん。」(このように反応する子もいるはずです^^;)

T:「では、「行きたい」「行ってみたい」もokです。動物園とか、美術館とか〜。」

S:「は〜い、分かりました〜。」

そして、10個書きました。

T:「はい、では、Sさん、前に来て下さい。書いて下さい。」(と、ホワイトボードに書いてもらう。全員、もしくは数名に書いてもらう。だんだん同じ答えも多くなると思いますので、その時は、「他にありますか?」と質問して、ある、と言った生徒だけ前に出て書いてもらう。このように、授業時間に支障がないようでしたら、学習者の皆さんに前に出て来て書いてもらいます。筆記、漢字などを皆で共有して確認することができますので)

「では皆さん、一緒に言いましょう。もし、意味が分からない言葉があったら、言って下さいね。では〜「びじゅつかん」はいっ!」(と言って、最後まで「場所の名前」を確認する。(あったら〜、は、みんなの日本語では、まだ習ってない表現ですよね。もしまだ未習語で、語彙コントロールが必要でしたら「意味が分からない言葉があります。私に言います。いいですか?などに区切って伝えてもokです)

次に、出た場所の中からいつくか取り出す。取り出し方は、「〜てもいいですか」のフレーズをよく使う場所の順で選ぶのがいいです。例:美術館/動物園/デパートなど、

「ではみなさん、「美術館」で、「絵を見ます」はいいですね。では、これはどうですか?いいですか?」
(と言って、絵を触るジェスチャーをする。ここから、その場所の中の話題に入る。その場所で何をするのか、何をする時に許可がいるのか、という、「許可」という概念と一緒に、「許可」を聞く時の表現を学ぶ、という段階に入ります)

S:「ダメで〜す。」

T:「はい、ダメですね。では、これは?」(と言って、写真を撮るジェスチャーをする)

S:「いいで〜す。・・・あ、悪い?」(まちまちの反応とか、「いいです」と言ったとします)

T:「??いいですか?悪いですか?わかりませんね。私も分かりません^^;」

S:「は〜い、分かりませ〜ん」

T:「そうですよね。では、聞いてみましょう。みなさん、どう言いますか?(何を言いますか?)」
(許可、つまり、「いいかどうか分からないから質問する」という、許可そのものの概念も、この流れにすると「あ〜、なるほど〜」と知る事ができます)

S:「写真を撮りたいですが、いいですか。」(こんな感じで言う可能性大)

T:「写真を撮っても いいですか。」(板書+読む)

S:「写真を撮って、も? いいですか?」(というような???という感じでリピートする可能性大)

T:「はい、一度一緒に読みましょう。「写真を撮ってもいいですか」はいっ!」

S:「写真を撮ってもいいですか!」(今度はきれいに言えるはずです)

T:「そうです。「て形」+「も いいですか」。これは、皆さんが言いました「写真を撮りたいですが、いいですか」と同じ意味です。私達はこちらを使います。だから、皆さんも、こちらを言って下さい」(と言って、「〜てもいいですか」の文を指さす)

S:「は〜い、分かりました〜。」

このように、「場所」で、どんな「許可」を取るケースがあるかを出し、それを「〜てもいいですか」に変換させる、という流れにもっていきます。

こちらが準備して、学習者が一方的に導入を受身で聞く、という形が多いかと思いますが、このように、本当の話、そして、学習者から出た言葉を広げて、その日の文法に繋げる、というのは、ずっとリアル感がある練習ができますので、学習者の皆さんも、「あれ?いつの間にか授業になってた!」というトリックに^^; 自然と最後まで和気藹々とした雰囲気のまま授業に入る(既に入っている^^;)ことができます。

つまり、「学習者の生活情報」→「場所に焦点を充てる」→「〜てもいいですか、を引き出すための工夫をして」→「導入に繋がるような流れにする」 という、私はこの流れが好きで(学習者の皆さんも好きそうです^^;)、だいたいこんな感じで始めています。

他の「場所」も、このように引きだして、④その日の授業に関連する物で、授業の入りに役立つもの、をチャレンジしてみて下さいね。

 

⑤学習者との楽しい触れあいの時間
<いろいろ>

「楽しい」という概念は2つあって

「笑う」楽しさと、「分かった」という楽しさがあります。
このいずれの「楽しい」でも結構ですので、(両方手に入れることが出来るとバッチリですが^^;)いろいろと工夫してみて下さい。

<自己紹介編>

T:「皆さんこんにちは。初めまして。私は入江です。宜しくお願いします。」

S:「は〜い、宜しくお願いします。」

T:「皆さん、私の名前は「入江」です。みなさん、今、わかりますね?」

S:「はい、わかります。」

T:「でも、皆さんは、私の名前だけ、分かります。」

S:「はい・・・?」(??何を言わせたいの、先生?)

T:(Q1.お名前は何ですか。と、板書する)。皆さん、これ、読んで下さい(もしくは、「読みます」)

S:「お名前は何ですか。」

T:「私は入江です。」と、板書のQを指しながら、今、「Q&A」の会話をしたんだよ、と、会話の形をこのように認識させる。そして、Q1.の下に、Q2,Q3,Q4,Q5と書いて、Qの横は空白にして、その空白部分を指さしながら
「Q2.はい、なんでもいいですよ。みなさん、私に、質問します〜。」(ここで学習者の皆さんは、「あ〜、何か先生について質問して欲しいってことか〜。それをQ2〜Q5まで作ればいいんだな?と理解します)

S:「先生は、どこに住んでいますか。」(どこに住みますか)

T:「私は、高宮に住んでいます。」

S:「先生は、何才ですか。」

(このQは、必ずといっていいほど出て来ます。そして、どんな年齢を言っても「へ〜」という、ちょっとびっくりしたような顔をします^^; いろいろ正直な、複雑な反応が言語以外の部分に表れますね^^;)

T:「先生、失礼ですがおいくつですか」と、正しい(使って欲しい)言い方に変えて板書する。
「はい、皆さん、「先生、失礼ですが おいくつですか」が、もっといいです。言いましょう、はいっ!」

S:「先生、失礼ですが、おいくつですか。」

T:「私は47歳です。」(数字って、聞いてから、ピンっとくるまで数秒かかりますよね^^; で、2〜3秒後、やっと47という数字が理解出来て、「あ〜あ、そうなんだ〜」という反応が返ってきます^^;)

というふうに、質問文が間違ったら訂正しながら、でもメインは「情報」の方にあるので、先生のことを知りながら、間違い訂正も付いてくる、という感じになります。

これは、他の学習者を主役にして、その子を上の「T」役としてやってみるのもいいですよ。毎日1人ずつとか、3人ずつとかやってもいいですよ。自己紹介お当番?!みたいに、ですね。

 

<日々の出来事紹介編>

T:「S1さん、昨日は何をしましたか。」

S:「昨日は、家で家族に電話をしました。」

T:「そうですか。はい、S2さん、S1さんに何か質問をして下さい。」(といって、今のS1の文に、何か質問をするように促す)

S2:「え〜っと、誰と話しましたか。」(何か考えて質問をする)

S1:「母と話しました。」

S2:「そうですか」

T:「はい、では、S3さん、質問どうぞ。」

S3:「え〜っと、電話は、お母さんだけですか。」

S1:「いいえ、母と父と話しました。」

S3:「そうですか、いいですね〜。」

というように、誰かのシンプルな文にでも、質問をしようと思えばいくらでもあります。このように、誰かの話の後に質問をするんだ、というパターンが分かってもらえたら、いつもTとS、また、SとS同士でも、会話のキャッチボールができるようになります。

「昨日何をしましたか」だけではワンパターン過ぎるようでしたら、「子どもの時、夏休みは何をしましたか」とか「先週の週末、何をしましたか」とか、「一番好きな食べ物はなんですか」など。何でもいいのです。大切なのは、「会話のキャッチボールができる」という、この練習のためですから。

ちょっとこのパターンになれたら、教師がボードに「Q」と「A」という文字を書き、Qを言って欲しかったら、

「はい、S2さん」と言いながら、板書の「Q」を指さすだけでokです。そして、S1に答えて欲しかったら「はいっ、S1さん」と言いながら「A」を指さします。

このように、授業の中で「指さし」を使うと、要らない説明をしなくていいので、既習・未習語のコントロールが厳しいクラスでは、かなり役立つと思いますよ^^

以上です。

では次回は「導入」です。
できるだけ早めに書きたいと思います。

どうぞ、来週からの授業にお役立ていただけましたら嬉しいです♬

 

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