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日本語教師の皆様のための『授業に役立つ小さなアイデア集④ー絵カードの使い方ー編』

日本語教師の皆様のための『授業に役立つ小さなアイデア集④ー絵カードの使い方ー編

私の授業準備は、昔から

文法知識は徹底的に準備する

「教案はメモ程度」

「できるだけ作り物をしない」

でした。

なので、私がここに書くアイデア達は、ほとんど物が要りません。

いるとしても、ごくごくシンプルな「絵カード」とか、それくらいです。あとは、生徒達から引き出すことを最大限に活用します。なので、誰にでも、簡単にできます♬

「世界中、いつでもどこでも教えられるようになりたい」と思って、そして、「準備物を作ることが面倒くさくて好きじゃない」という私の性格と工夫で出てくるちょっとした「授業に役立つアイデア集」は、全て、生徒達から「楽しかった!」と言われ、何かしらの技術がアップしたものばかりです。

この地道な情報発信が、今、養成講座で実習に苦しんでいる、また、学校での教案作りに頭を悩ませて、つらい思いをしている日本語教師の皆さんのためになる情報であることを願っています。

 

簡単です♬

どんな絵カードでもいいです。

私は、既習の絵カードは、ほぼ全て準備してクラスに入っていました。
例えば、今日のレッスンで「みんなの日本語」の25課をするとします。

クラスには「24課」までの絵カードを持って入ります。量が膨大すぎるとか、他の先生が使われている、という時は、「品詞別」に、その時々で持って入ります。(今日は名詞だけ持っていこう〜とか、ですね)

「動詞、あんまり覚えてないな〜」と思ったら、1〜24課までの動詞カードを全て持って入ります。

そして、授業の最初に
「は〜い、では、絵カードチェックしますね〜。」

と言って、準備した絵カードを全て持って1枚ずつ見せます。

「ます形」で確認するときもあれば「て形」など、弱い形を言わせるときもあります。数十枚になるので、結構なボリュームですが、しょっちゅうやっていれば、過去の語彙は、かなり早いテンポで言うことが出来ます。

T:「(絵カードを全部持って)はい、では、今日も絵カードチェックしますね。」
S:「は〜い!」
T:「はい、これは?(最初の一枚を見せながら)」
S:「食べます。」
T:「はい、次!」
S:「飲みます。」
T:「はい、次!」(テンポ良く、がポイントです)
S:「・・・出かけ・・・ます・・・?」(発話がバラバラだったり、あまり言えてないとします)
T:「出かけます、はいっ!」
S:「出かけます!」(教師が正しく言って、生徒達に一度正しく言わせる)
T:「では、これは残念Boxですね〜。」(と言って、正しく言えたカードは右、言えなかったカードは左、という風に、振り分けながら重ねていきます。
S:「(失笑^^;)」
T:「はい、次っ!」(また新しいカードを続ける)
S:「降ります」
T:「はい、次っ!」

という風に、ちょっと早いくらいのスピードで、トントントンっとめくっていきます。
どうしてその課のカードだけじゃなくて、ずっと前からのカードも入れるかというと

①復習になる
②最初の方の課は、ほぼ正解になるため、かなり達成感を感じながら始めることができ、結構気持がのってくる^^;

という効果があるためです。

そして、これは、私が授業に入るときはほぼ毎回していました。
生徒達は、この絵カードチェックが大好きで、自分達が前回よりも言えている枚数が増えていくのがとても楽しいみたいで、私がクラスに入って、授業を始めた途端

「先生、カード、カード!」

と催促します。

そして、毎回最初からの、全てのカードを準備するので、
「前回は50枚、今回は60枚達成」と、数で自分達の語彙力アップを実感することができるので、嬉しいようです^^
(この枚数の多さも、充実感に繋がっているようです)

そして、この「残念Box」に入っているカードは、授業の合間合間にチェックします。レッスンの前後の脈絡が全然合わなくても大丈夫です。むしろ、ぱっと頭が切り替わって、眠気覚ましにもなるし、「よし!今度は全部言うぞ〜!」というエネルギーが涌くようです。

例えば授業が20分くらい進んで、ちょっと一区切りついたとします。
T:「はい、では、皆さん、残念Boxチェックしますよ〜!」
S:「は〜い!」
T:「はい、これは?」
S:「え〜っと、え〜っと・・・出かけます!」
T:「そうそう、いいですよ!じゃ、これは?」(と、また次の残念カードを出す)

一度最初に復習しているので、2回目の時は、だいたい言えます。
でも、2回目でも、全部言える訳ではない、ということもよくあります。この時に言えたカードは「残念box」→「ok」の方に移して、今回も言えなかったカードは、また残念Boxに残したままにします。こうやって、繰り返す度に「残念Box」に入っているカードが減っていきます。これも嬉しいようです^^ そして、また言えなかったときは、脳にすり込むように

「はい、これは、「引き出します」、「引き出します」はい、5回言って下さい。」

と言って、その場で5回繰り返して言ってもらいます。
「引き出します、引き出します、引き出します、引き出します、引き出します」と繰り返したら、

「はい、これは?」と、また同じカードを見せます。今5回繰り返したばかりなので、
「引き出します!」
と、もちろん自信を持って言えますし、正解です。ここでしっかり定着させて、でも、まだ残念Boxにキープしておきます。これは、まだ自力で正解になったわけではないですから^^;

そしてまた15分くらい授業が進んで、ちょっとだけ一区切りついたら、

「は〜い、残念Boxチェックですよ〜!」

と言って、先ほどより少なくなった残念Boxのカードを見せて、またチェックします。

そして授業の最後は、また全部のカードをチェックします。

「はい、では、最後にまた全部チェックします。皆さん頑張って下さいよ!」

と言って、授業の最初にやったカードを全てチェックします。
すると、ほぼ毎回、この時点では100%の正解率でクリアできます。

そして達成感をもってレッスン終わり〜!となります。

私がしているのは、ただひたすら「繰り返す」ことに執着すること、だけです。
テンポよくすると、そんなに時間もかかりません。

そして、1コマの授業の中で、最初の時点では80%の正解率だった語彙が、たった90分とか100分とかの1コマ後には、正解率がほぼ100%になっているこの奇跡!はすっごく面白い現象ですよ^^

生徒が
「え〜!無理〜!」とか言っても、

「大丈夫、できます!何回もリピートすれば、絶対できます!私も頑張るからあなたたちも頑張って下さい^^」

と、教師が語彙アップのために執着する、つまり、生徒の可能性を伸ばしたい!と、彼らの可能性を彼ら以上に信じている姿をずっと見せます。

ここも私のモットーでしたが
「生徒が自分の可能性をあきらめているような発言をしても、絶対に教師はあきらめてはいけない。信じ抜くし、その姿を見せる」と決めていました。

生徒が
「先生、ぼくは無理です。だって、頭が悪いから〜。」
と言っても、絶対にそれに便乗はしません。

「大丈夫、できる、できる、ゆっくりでいいから、1つずつでいいから一緒に頑張りましょう!」と言って、一筋のモチベーションが切れないように励まし続けます。

そして、上記の絵カードの応用編ですが、もし、「て形」が弱いとします。

T:「はい、では、皆さん、今日は「ます形」と「て形」を言います。「食べます/食べて」の2つ、言います。いいですか?」
S:「は〜い、分かりました。」
T:「はい、これは?」
S:「食べます/食べて」
T:「そうそう、いいですよ!じゃ、これは?」
S:「飲みます/飲んで」
T:「いいですね〜。じゃ、これは?」
S:「行きます/行きて」
T:「??行きて?」
S:「あ、違います、違います、「行って」です><」
T:「はい、「行って」ですね〜。でも、残念Boxに行きます〜」(と、最初からきちんと言えなかったので、残念Boxに入れる)

このように、「て形」などの形を言わせるときは、最初から「て形」じゃなくて、まず「ます形」を言って、それから「て形」を作るようにします。

そうすると、だいたい「ます形」は分かるので、そこで発話の足並みが揃って、みんな一緒のタイミングで「て形」部分を言うことができます。最初から「て形」だけだったら、頭の中でて形を作る時間に個人差があるので、バラバラっと発話してしまいます。
ですので、どの形の変化でも、私は「ます形」→「○形」を言ってもらうようにしていました。

そしてそして最後の応用編ですが、この「教師役」を、生徒にしてもらってもいいですよ。
例えば、普段発話が少ない子、ちょっと劣等感を感じている子などにしてもらうと、出番ができていい感じです^^

T:「じゃあ、○○君、前に来て下さい。みなさん、今から15分は、○○君は、○○先生になります。いいですか〜!皆さん、○○先生、宜しくお願いします、と言いましょう!はいっ!」
S:「○○先生、よろしくおねがいしま〜す!」
○君:「・・・(照れ気味^^;)」

となります。この時点で、わっくわくの頂点です^^

そして、○○君が前に出て来て、絵カードチェックのやり方を少しだけ教えて、後は、教師はゆっくりと椅子に座って眺めたり笑ったりします^^

生徒達だけで授業を任せるときは、できるだけ私は傍観者のように振る舞います。
隣で本物の?!先生が立って、見張っている、というような形を作ると、緊張感が取れないので、「私は無関心だよ〜!」という感じで、授業を放棄している感じで観戦します。手も口も出しませんよ〜という感じです。そうすると、だんだん生徒達の自主的な発話や行動が自然と出て来て(本物の教師に遠慮しなくなるのだと思います。雰囲気的に。)

っと、長くなりましたが、こんな感じです。

いかがでしょうか?

どこか一部分でもお役に立てればと思います。

学校によっては、教師は椅子に座ってはいけないとか、いろいろとルールがある学校もあるかもしれませんが、可能な範囲内で、是非お試し下さいませ!

では、また書きま〜す^^

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