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日本語教師の皆様のための『授業に役立つ小さなアイデア集⑤ー教案の作り方ー編』

日本語教師の皆様のための『授業に役立つ小さなアイデア集⑤ー教案の作り方ー編』

 

こんにちは。

今回は「教案」です。
「目的」と「活動」について書いています。

今は「教案」という型にはまった授業の作り方はほとんどしていませんが、それでも養成講座や日本語学校で求められ、教師の皆さんが一番苦しんでいるワードが「教案が〜><」だと思いますので、一度私なりの見解や意味をまとめたいと思っていました。

なんでもそうですが、「目的」はっきりしてこそ、そこにどうやって物事を運べばいいのかが見えてきます。

逆に言うと、「目的」がぼんやりしていると、自分が今していることの意味が掴めず、また、「一般的にこうだから、こうしなきゃいけないんだろうな」というように、なんとなく教案の空白を埋めるように授業を作ろうとしてしまいます。
だから出来上がった教案にも自信が持てない、というふうになります。

人生も同じですね^^

目的が分かって、目の前に空白があって、でも、その空白の埋め方に「個性」があるから埋める方も楽しいのだと思います。
自分なりを論理をくっつけてイメージしてみたり、その論理が人によって違うから、またお互い「なるほど〜」と学びあえて。

そういう意味では、日本語教師が求められている「教案」には、あまりにも型がありすぎて、日本語教師の「個性」が出せずにいるな、と感じることもあります。

教師も生徒も授業を「楽しむ」ということからどんどん離れていってしまっているような気がします。

「目的」にこだわって、そのプロセス(=教案)は、もっと自由にさせてもらうことはできないのかな・・・と思っています。

ですので、今回は、「目的」と「活動」を絡めて説明したいと思います。

1.「ウォーミングアップ」
2,「導入」
3.「導入確認」
4.「文法のポイントと形の確認(練習A)」
5.「ドリル(練習B)」
6.「ミニ会話(練習C)」
7.「応用/展開」

の順ですが、一つ一つの解説が長いので、どこまで時間がかかるか分かりません^^;
ですが、とにかく一つ一つできるだけ丁寧にお伝えする、という点を大切にして書いていきますね。

(みんなの日本語ベースとしての順番になっていますが、もちろんどのテキストでも使っていただけると思います。)

気長におつき合い下さいませ^^;

【1. ウォーミングアップ】

【目 的】
「緊張をほぐす」
「モチベーションを上げる」

【内 容】
①緊張をほぐすための雰囲気作りのゲーム
②季節/行事のことなど、日本の豆知識として紹介したいことなど
③過去の定着していない項目の復習を少しだけ(助数詞/形など)
④その日の授業に関連する物で、授業の入りに役立つもの
⑤学習者との楽しい触れあいの時間

これは、私なりの「定義づけ」です。

以下、それぞれ「例」を出してみますね。

簡単です♬

①緊張をほぐすための雰囲気作りのゲーム
<例1:ランキングクイズ>

T:1位 アメリカ/2位 中国/3位 韓国 (←ホワイトボードにランキングクイズを書く)
「はい、みなさん。これはなんのランキングですか?」
(これは、なんですか?だけでも伝わると思います。クイズだと推測できるので)
S:「大きさ/大きい!です」いや、「長く生きます!です」いや、「旅行!です」
(など、思い思いに答えを言います)
T:「大きい」は、「国の大きさ」です。「長く生きます」は、「長生き」です。「旅行」は、okです^^」
(というふうに、生徒が言った日本語を、レベルにあったくらい日本語正しく訂正します)

「一度言いましょう。」
S:「国の大きさ、長生き、旅行」(教師が言って、生徒が言って、とリピートさせる)
T:「じゃ、みなさん、もう一度しましょう!正しい日本語が分かりましたよね?それを使って、もう一度はじめからしましょう!」(と言って、今のシーンをもう一度正しい日本語を使って行う)

「はい、みなさん、これは何ですか?」(と、もう一度ランキングを指さして、最初からクイズを始める)
S:「国の大きさ!」「長生き!」「旅行!」(今度は、日本語に自信を持って言える)
T:「は〜い、みなさん。日本語はとてもよかったですよ^^ でも、答えは違いますぅ〜(^_-)-☆」
S:「え〜?」とか「あれっ?」という反応があります。
(そして、え、この中に正解なかったの?!わざわざやり直しさせられたのに・・・というムードが漂います^^;)
T:「答えは、「日本人がよく行く外国ランキングでした!」
S:「へ〜。」
T:「○さん、どうですか?このランキングを見て、どう思いますか?」
(または、○さんは、どこの国に行きたいですか?どうしてですか?とか、○さんはどこの国に行きたいですか?など、このランキングから少し話を広げる)

このランキングクイズは、ネットで調べたらいくらでも出て来ます。
ちなみに私が調べたのはこのサイトです。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/index.html

ランキングクイズはたくさんあるので飽きないし、そこから話を広げられるし、その背景なども推測したり教えたりするとまた、面白くなります。雑学的な知識としてもお互い面白いし、毎回定番化してもいいと思います^^

 

<例2:3ワードセンテンス作り>

T:「海・テスト・友達」(←思いついた単語3つをホワイトボードに書きます。もしくは、生徒3人に、紙に1つずつ単語を書いてもらって、集めて、それを題材にする、というのもいいですよ。)
「はい、皆さん、これを読んで下さい。」
S:「うみ〜。てすと〜。ともだち〜。」
T:「はい、意味は分かりますか?」
S:「は〜い、分かります。」
T:「では、今から1分時間をあげます。この3つを使って、文を作って下さい。1文にします。順番はなんでもいいです。他の言葉も使ってもいいです。」
(この指示が難しかったら、3つの単語の順番を並べ替えて、どれでもokです、と示す。また、他の言葉を1つ、2つ追加して、それもokだと伝える)
S:「え〜!難しい〜!」
T:「今まで勉強した文法、助詞、言葉、どれでもいいですので、作って下さい。はい、スタート!」
(と言って、ストップウオッチで本当に時間をはかり、「15秒前で〜す!」とか「あと5秒で〜す!」と言って、「秒」とか「前」とか「あと」という言葉を自然に聞かせたり、確認する。「秒」なども、普段めったに使わないので、「あ〜、確かに、「秒」っていう言葉ってあったよな〜、など、思い出す機会になる)

「はい、1分で〜す!では、○さんから順番に、前に来て書いて下さい。書いたら、次の人にペンをあげてください。みんな書きます。」(1人1文ずつなので、それほど時間がかかりません。ボードに書くことで、みんなで一緒に見ながら文法や語彙や漢字などをしっかり確認することができる。)

「はい、では、1つずつみんなで読みま〜す。」
(正解している文だけ一緒に読む。間違っている文は、後でみんなで確認する材料としてとっておく。)

(間違っている文の訂正:例:テストが終わったので、友達と海で遊びに行きました)
「この文ですが、90%はokです!でもすこ〜しだけ間違いがあります。みんなで一緒に100%にしましょう!」(というように、私はよく○%okです、でも、少しだけ、10%だけ間違っています。という言い方をします。間違いより正解の%が大きいので、自尊心は傷つけません^^;)
S:「海で、じゃないです、海に、です。」
T:「そうですね、いいですよ。「で」じゃなくて、「に」ですよね。」
と、学習者に間違い訂正をしてもらいながら、最後まで続けます。途中、文法理解が薄い部分があったら、解説も加えます。そして、最後まで間違い訂正が終わったら、全ての文を最初から少しテンポよくみんなで読んで終わり、です。

学習者だけに読ませてもいいですが、教師が先に読んで、すぐに追いかけて言ってもらうようにすると、正しい発音、イントネーションをそのまま真似することができるので、シャドーイングのような効果もあります。

ですので、教師→学習者、というそして、テンポアップしてリピートさせる、という活動は、できるだけ多くレッスンの中に取り入れるようにしています。口から出る日本語が多い分、頭ではなくて、体で?!正しい日本語を覚え、違和感のある文を読んだ時に、「何が変か分からないけど、何かが変・・・」という、「感覚」が体に残っていきますので。

これを全部するには時間がかかりすぎるかもしれませんが、その時は、数人にしてもらってなど、1日5人だけとか、時間に合わせた人数で実施することもできます。

 

②季節/行事のことなど、日本の豆知識として紹介したいことなど

<例:和風月名 紹介>

T:「みなさん、今は何月ですか?」
S:「6月です!」
T:「そうです、6月ですよね。では、これは分かりますか?(「水無月」と、ボードに書く)
S:「???みず、ない、つき?」
T:「これは、「みなづき」と読みます。これは、6月、という言葉です。皆さん、知りませんでしたか?」
S:「はい、知りませんでした〜!」
T:「そうですか〜。はい、○さん、何か質問がありませんか?」(どんな意味ですか?という質問などが来る、と予想して、できるだけ、教師が一方的に説明に入らないように、あくまでも、学習者のQに対して、教師がAを言う、という形を作ると、学習者の発話が増えるし、主体的な形も生まれる。ですので、よく、教師が何か言った後で、「○さん、何か質問下さい。と、質問をリクエストします^^))
S:「あ、はい、水無月は、どういう意味ですか?」
T:「6月なのに水が無い月は変ですよね? でも、変じゃありません。この「無」は、昔、「の」の意味でした。だから、「水無月」=「水の月」の意味なんです。6月は雨がたくさん降りますよね。だから、水の月、でも、「無」と、漢字は反対ですね。日本語は面白いですね〜^^」
S:(目がキラキラしている^^)「へ〜、面白いですね〜!」

あと、時間があれば、1〜12月までの「睦月」→「如月」→「弥生」→「卯月」→「皐月」→「水無月」→「文月」→「葉月」→「長月」→「神無月」→「霜月」→「師走」なども教えるといいと思います。

学校とアルバイトに明け暮れる毎日の学習者さんも多いと思います。それ以外の知識を覚えたり、日本を知ったりする機会も非常に少ないと思います。

ですので、せめて、授業の中で皆さんの知識が豊かになったり、日本のことが「へ〜、おもしろいな〜」と思ってくれたりする時間を、1分でも増やしてあげたいと思っていました。

何よりも、教師自身も、意外と日本の事って知らないですよね^^;
学習者に教えることを通して、教師自身が日本をよく知り、もっと好きになることができます。

ネットからの情報でも十分だと思います。

是非、「日本語」という切り口だけではなく、「日本」という視点を持って、学習者の皆さんに

「なるほど〜」とか

「へ〜、おもしろいね、日本〜」

なんていう反応がたくさんもらえるような時間にしていただけたらと思います。

次回は「③過去の定着していない項目の復習を少しだけ(助数詞/形など)」からを書きたいと思います。

では、水無月も、楽しい授業作りに頑張って下さい!

 

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