9Jul
日本語教師の皆様のための 『授業に役立つ小さなアイデア集⑨ー教案の作り方ー編』
『教案の作り方シリーズ』の、今日は「導入確認」です。
過去の記事はこちらにあります。
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2024⑤
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2051⑥
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2058⑦
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2065⑧
1.「ウォーミングアップ」
2,「導入」
3.「導入確認」←(今日はここです)
4.「文法のポイントと形の確認(練習A)」
5.「ドリル(練習B)」
6.「ミニ会話(練習C)」
7.「応用/展開」
【3. 導入確認】
導入確認の定義づけは以下の通りです。
(この定義づけは、教師によって、学校によって違いがあるかと思いますが、私なりの定義づけと認識していただければと思います)
【目 的】
「導入が理解出来たかどうかの確認」
【内 容】
『導入+導入確認』
どうぞご参考下さいませ。
今日も簡単です♬
<例:「〜てもいいですか」導入→導入確認>
T:「おはようございます!では、今日の授業を始めます。」
S:「はい、おはようございま〜す!」
T:「みなさん、元気ですか?!」
S:「はい、元気で〜す!」
T:「あれ、ちょっと暑いですね。みなさん、どうですか?」(エアコンをつけてない状態)
S:「はい、ちょっと暑いです・・・><」
T:「え〜っと、エアコン・・・あ、27℃ですね。みなさん、いいですか?もっとさむい、がいいですか?26℃?25℃?」
S:「はい、お願いします〜><。」
T:「はい、分かりました。ちょっと、私、わかりませんから、学校の○○先生に聞きますね。」
(電話をかけるしぐさ。もしくは、ボードに、○○先生の顔写真を貼って、そこに向かって言う^^;)
「○○先生、ちょっと暑いですから、エアコンを26℃か25℃にします。いいですか?26℃にしてもいいですか?」
(okが出た、という設定で・・・。)
*「します+いいですか?」=「しても いいですか?」(「て形+も+いいですか」と公式をボードに書く)
「ありがとうございます。」(温度を変えるジェスチャー)
「はい、涼しいですね。(涼しくなります。」) ちょっと待って下さいね。」など。
S:「は〜い」
*「わかりません」=「自分にしてもいいかどうかの決定権がない」という認識の提示
*「いいですか?」で、okかどうか、尋ねている「〜てもいいですか」の概念の要素
*「〜てもいいですか?」で、正しい文型にする
の、3つのステップで「〜てもいいですか」を作っています。
そして、このあとの「導入確認」です。
T:「S1さん、S2さんのノートを見たいです。いいですか?わかりますか?」
S1:「いいえ、わかりません。」
T:「では、S2さんに聞いて下さい。」
S1:「はい、S2さん、ノートをみても いいですか?」
S2:「はい。」
T:「はい、いいですよ。わかりませんから、聞きましたね。では、S3さん、今日は 用事がありますから、早く帰りたいです。早く帰ります、は、いいですか?わかりますか?」
S3:「いいえ、わかりません。」
T:「そうですね。では、だれに 聞きますか?」
S3:「先生に聞きます。」
T:「はい、そうですね。では、聞いて下さい。」
S3:「先生、早く帰りて?もいいですか?」(この時、「帰って」の「て形」が上手に作れなくてもokです。「この場面で、この文型を使う、ということが理解できていればokです。形は後で練習しますので。)
T:「はい、いいですよ。どうぞ。」ここで「はい」の答えのパターンも教える。
***以上、「26℃にします」が使えなかったら、「エアコンをつけます」のパターンにして、これも未習で使えなかったら、エアコンではなく、窓を閉め切って、とか、開けっ放しにして、と、「寒い」と「暑い」の状況を作って+使用可の語彙で導入できるように変更して下さい。***
ここまでが導入確認です。
導入確認は、あくまでも
「この場面で、誰に何を許可を得る必要があるのか。そして、それを、どんな表現で気持を言葉にすることができるのか」
を「頭で理解」するところです。
その確認を
「皆さん、分かりましたか?」
と質問して、「は〜い」という答えが来ても、本当に理解しているかどうか分かりません。
それで、「わかりません」→「聞きます」→「許可をもらいます」の流れに沿う他の場面を提示して確認します。
これが
「導入が理解できているかどうかの確認」となります。
いかがでしょうか?
直接法って、ほんと、細部に渡って「日本語で」流れを持って行ったり、自分の日本語をコントロールしたりと、ほんと〜に気を遣いますが、これが身につくと、授業中のとっさの対応にも役立つ「スキル」になりますよ。
これを私は、よく
「N1はN2です」
というルールで説明をするように、と、周りの方に伝えています。
どんなに語彙コントロールしてても、生徒からとっさの質問がきたり、そして、教師自身もついつい
「あ、これ未習だった〜><」とか
「あ〜、これは理解してもらえると思ってたけど無理か〜><」と、その場であちゃ〜っと思うことがあります(多々^^;)
そんな時は落ち着いて
「N1はN2です」で、まずは対応します。
T:「昨日、マックでフライドポテトを食べました。美味しかったです^^」
S:「???」
T:(あ、もしかして、フライドポテトがわからない・・・?しまった〜><)←の、心境^^;
S:「先生、何ですか?フライド・・・?」
T:「あ、はい、フライドポテトです。」(と、落ち着きを取り戻して、よし!この単語を教えよう!という覚悟を決めます^^;)
「フライドポテト」と、ボードに書きます。そして
「はい、みなさん、読んで下さい。」
S:「フライドポテト」
T:「はい、そうです。」「フライドポテトは食べ物です。」(←これが「N1はN2です」の形になっている。)
S:「はい。」
T:「ポテトは、じゃがいもです。じゃがいもは野菜です。」(←この単語が分からなかったら絵を書く^^; 先生、頑張って!)
S:「あ〜、はい、わかりました!」
T:「フライドは、これです。」(←フライパンに油を入れて、スティック状のポテトを揚げている絵を順番に書く。①フライパンの絵 ②油を入れる絵 ③包丁でスティックにする絵 ④油に入れる絵 ⑤油に入っている絵(=フライド) ⑥油から出して、お皿に載せている絵と、一気に書いて、完成の絵で説明するのではなく、そのステップが、そのまま生徒が頭の中にイメージを作るステップになりますので、一つ一つ丁寧に確認しながら絵を描き上げていきます。)
この⑥を指さし、「これが、フライドポテトです。」
S:「あ〜、分かりました!」
と、なります。
もちろん全ての物が絵で書けるわけではないですが、大切なのが
「N1はN2です」に入れ込んで説明しよう、とすることです。
この形を意識すると、「簡単に」「一番軸となる要点を」言おう、という思考回路になるのです。
例)
フライドポテトはなんですか?
と聞かれた時に、この一番軸となる「カテゴリー」は、「食べ物」ということです。最初に聞いた生徒は、これが、食べ物なのか、野菜なのか、デザートなのか、何にも分かりませんから、一番大切な「カテゴリー」を最初に頭にイメージしてもらいます。ここから、このN2のものに、補足説明をしていく感じです。
「野菜です」「じゃがいもです」というようにです。
以上です。
少しでも皆さんのお役に立てる情報が入ってたらいいな〜と今回も想像しながら書きました。
日本語教師の自信になる一番の基礎力は「文法」です。
そして、この「文法」が、いつ、どこから質問されても頭の引き出しから出しやすいように整理整頓しておかなければ、「順番通り」にしか教えられません。
初級文法は特に「日常会話のための文法」だらけです。
どうか、一つ一つ丁寧に積み上げて、私達自身も、「日本語を習得する」という意識で、「外国語としての日本語」を基礎から学ぶ必要性と楽しさ、そして「自信」を手にしていただけたらと思います。
では、また書きま〜す^^
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