14Aug
日本語教師の皆様のための 『授業に役立つ小さなアイデア集⑬ー教案の作り方ー編』
『教案の作り方シリーズ』の、今日は「応用/展開」です。
過去の記事はこちらにあります。
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2024⑤
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2051⑥
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2058⑦
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2065⑧
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2085⑨
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2110⑩
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2132⑪
→http://naruhodo-nihongo.com/?p=2154⑫
1.「ウォーミングアップ」
2,「導入」
3.「導入確認」
4.「文法のポイントと形の確認(練習A)」
5.「ドリル(練習B)」
6.「ミニ会話(練習C)」←(今日はここです)
7.「応用/展開」←(今日はここです)
【応用/展開】
【目 的】
「実際の場面で使えるようになる」
【内 容】
『実際の場面で使えるような練習をする』
『復習を絡めて、過去の知識と合わせて使えるようにする』
「導入」→「練習」→「会話練習」と、授業の中で積み重ねた集大成に、「実際に使えるように!」というエッセンスを加えて、「実際の場面で使える最終準備」が「応用/展開」です。(っというのが私の定義です。)
上記に書いているように、「過去の復習」も意識して入れます。
もちろん過去の文法を忘れないように、という目的も入っていますが、実際の会話は、「自分の頭の中にある日本語知識を瞬時に繋ぎ合わせて言いたいことを文にする」ということが求められます。
新鮮な知識ほど頭から出やすいですが、頭の引き出しの奥に入っている知識を、できるだけ出しやすい場所に引き出す「脳トレ」みたいな感じですかね^^
今日も簡単です♬
(練習Cとか、「会話」の後、だとします。)
【『実際の場面で使えるような練習をする』編】
*まず、「場面」の考え方として、通常「学校」「家庭」「社会」があります。
(基本的に私達はこの場面で生活をしています。と考えると、「場面」というものを、より具体的に考えることができます。)
この3つの場面から、それぞれ細分化された場面をリストアップし、学習者に一番近い場面から練習をしていく、という風にすると、「場面」という、順番も、軸もないものの考え方に「軸」が出来ます。
どんなことでもそうですが、「軸」や「基本」を見つけずして、ランダムにアイデアを出していくのは、どこか不安ですよね、「これでいいのかな〜?」って。
なので、どんなに抽象的なことも「①考え方の軸を見つける」「②その軸から広げる」という風にすると、まずは自分の中で「論理的に」思考回路を作ることができます。
「自信を持って選択する」とか「自信を持って教える」というのは、「軸」(=まずは、「自分なりの軸」でもいいです!)無しには得られないですよね。
そして学習者の皆さんの場合は「学校」「アルバイト」「社会」になるのかな?と思います。もちろん、ここは皆さんの生徒さんを重ねて考えて下さい。
例)「学校」
1.授業前
→遅刻した時/宿題を忘れた時/などなど・・・
2.授業中
→授業中の内容が分からない時/早退したい時/トイレに行きたい時/先生にスマホを取り上げられた時/などなど・・・
3.授業後
→授業について質問がある時/自分が書いたノートを見て欲しい/などなど・・・
4.教務室
→アルバイト先のことの相談/ビザの相談/支払いの相談/などなど・・・
5.その他
→履歴書を書く/面接の練習/クラスメイトの相談がしたい時/個人的に相談がある時/などなど・・・
このように、3つの場面から細分化された場面をできるだけ細かく出して行きます。そして、それぞれに「リアルな会話の流れ」を作ります。この会話の流れは、以前「導入編」でアップしたように、「自然な会話をそのまま書き、その後に言葉のコントロールをする」と書いたページを参考にしていただけたらと思います。
→「http://naruhodo-nihongo.com/?p=2065」
例)「アルバイト」
1.アルバイト前
→アルバイトの問い合わせをする時/面接の時/初日の挨拶/
2.アルバイト中
→やり方が分からない時/日本語が分からない時/早退したい時/遅刻した時/謝るとき/お礼を言うとき/習ったことをもう一度聞きたいとき/
3.アルバイト後
→最後の挨拶/特別に言いたいことがある時/
例)「社会」
1.コンビニ
→店員さんの日本語が聞き取れなかった時/欲しい物を聞きたい時/トイレを借りたいとき
2.バス停
→バスの運転手に、目的地に行くかどうか聞きたい時/
3.駅
→どれに乗ればいいか分からない時/
4.区役所
→どこの課に行けばいいか分からない時/担当者の日本語が分からない時/
5.デパート、大型店
→売り場を尋ねる/色違い、サイズ違いがあるか尋ねる/欲しい物が置いてあるかどうか尋ねる/
例えばですが、上記の様に実際に遭遇するような場面をできるだけ出します。
その場面と、学習者の皆さんが実際に遭遇しそうな確率が高い物から授業で練習します。
テキストにもよりますが、テキストの会話は、「一般的な」場面と会話で練習することが多いと思いますが、最後に、「実際の場面」にそれらの会話をあてはめたときに初めて、
「あ、確かに!この場面で使えるんだ!」と、学校の授業と現場がリンクします。
その役割が、授業の最後の「応用/展開」、ということになります。
【『復習を絡めて、過去の知識と合わせて使えるようにする』編】
上記の「実際の場面での会話」を軸に、今まで勉強した文法を絡めて文を作れるように意識します。
私はよく、「既習文法リスト」を作って、学習者に配っていました。
1.〜が Vたいです。
2.〜が 欲しいです。
3.〜てもいいですか。
4.〜て 下さい。
5.〜て、〜て、〜て
6.・・・・
というように、単純に過去の文法をリストアップして、
「今までこのような文法を勉強しましたね、覚えていますか?」
と、チェックをして、忘れてそうな文法があったら軽く復習をして、
「はい、では、この場面の会話に、できるだけ今まで勉強した文法を入れて下さい。最低3つは入れて下さいね。」
という風なお題を出して、会話を作ってもらいます。
時には、「実際の場面での会話」から、無理矢理会話の流れが変わることもありますが、「会話の流れに沿って、正しい文法が選べる」という部分に重点を置けば、これは、上記の「実際の場面」の練習では補えない学びのある練習になります。
以上です。
私は通常(特に日本語学校に勤めていたときは)、このようなことを意識して授業を作っていました。
ここまでの13回シリーズのいずれかが、皆さんのお役に立つといいな、と思っています。
日本語教師の業界も、時代の流れでだんだんと「資格重視」になっているな、と感じます。
でも、学習者が求める教師像はそれとは必ずしもリンクせず、
「楽しく分かりやすい授業」であり、それを提供してくれる「先生」です。
時代が変わっても、資格が必要でも必要じゃなくても、この一点を意識しながら自分を高めていくという意識を持って、「時代が変わっても変わらないもの」=「本当に必要なもの」を身に付けて頂けたらと思います。
私は、短大卒で、日本語教師の検定試験も受けたことがなくて、420時間を修了しただけです。
でも、こうやって、「時代が変わっても変わらないもの」=「本当に必要なもの」を見つめて、探して、形にして来ました。
時代が変わると、情報が入ると、ついつい自分に足りないものが際立って、自信をなくすことも多いかと思います。
そんな時は
「私は本当にこの道を目指したいのだろうか」
「私は本当にこの資格が欲しいのだろうか」
と自問自答して下さい。世の中が求める物にその都度振り回される生き方は、「自分らしい」に近づいているのか、離れていっているのか・・・。
いつでも自分らしさと、自分の足下と、自分自身の可能性をしっかりと見つめて信じることを忘れないでいただけたらと思います。
きっと今の時代も、「過去」になりますから、いつか。
では、ここまでお読み下さり、ありがとうございました!
世界中の日本語教師の皆さんの授業準備が、少しでも楽しく、短く、そして、自信を手にしていただけますように!
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