6Apr
こんにちは!
日本語教師&臨床心理士の松です。
今日は記憶についてのお話。
日本語教師になりたてのころ
学生の部屋に初めて行きました。
台所の柱やトイレの中に
単語を書いたメモが
びっしり貼ってあるのを見て
驚いたことがあります。
生活の中で繰り返し見て
覚えようと努力していたんでしょうね。
外国語の文法や語彙を「おぼえる」のって
大変ですよね。
おぼえること、つまり「記憶」ですが
大きく3つの段階からなっています。
第1段階は 符号化 = おぼえる
目や耳などから入ってくる情報を頭に入れる。
第2段階は 貯蔵 = おぼえている
頭に入れた様々な情報を蓄えておく。
第3段階は 検索 = 思い出す
頭の中に蓄えられていた情報を必要に応じて取り出す。
これら3つの段階をうまくクリアできたとき
ほんとうに記憶できたと言えます。
私は記憶力がよくないほうです。
先日ある研修で、4人グループになり
一人ずつ自己紹介をしてから
テーマについてディスカッションする場面があったんですが
みなさん初対面と思い込み
「初めまして、マツです!」と言いました。
すると中のお一人が
「前に○○で会ったことがあります」と…(う~ん、気まずい)
こんなことは日常茶飯事で
いかに私の物覚えが悪いかを証明しています。
ここまでではなくても
久しぶりに会った人の名前が
どうしても出てこないってことはありますよね。
これは、その人の名前をうまく記憶できなかった
ということでしょう。
それじゃあ、なぜ、そんなことが起こるのでしょうか。
先ほどお話した記憶の3つの段階で考えると
次のような可能性があります。
①その人と以前会ったときに、
名前をしっかり頭に入れておかなかった
=符号化の失敗
②一度は名前をおぼえたけれど
長い間会わなかったので忘れてしまった
=貯蔵の失敗
③頭の中にはあるんだけど
のど元まで出かかって
どうしても思い出せない
=検索の失敗
日本語学習者が正しい語彙を使えなかった場合
最初にちゃんと覚えていないのか?
一度は覚えたけど使わないうちに忘れたのか?
覚えているけど、すぐに出てこないのか?
どの段階にあるかによって
学習者にどんな練習が必要か
教師が考えるヒントになりますね。
記憶の話は非常に奥深く
日本語教育にも直結した話題なので
まだまだ続いていきますよ~。
それではまた来週!