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記憶のプロセス

 

こんにちは!

日本語教師&臨床心理士の松です。

今日は記憶についてのお話。

 

 

日本語教師になりたてのころ

学生の部屋に初めて行きました。

 

台所の柱やトイレの中に

単語を書いたメモが

びっしり貼ってあるのを見て

驚いたことがあります。

 

生活の中で繰り返し見て

覚えようと努力していたんでしょうね。

外国語の文法や語彙を「おぼえる」のって

大変ですよね。

 

おぼえること、つまり「記憶」ですが

大きく3つの段階からなっています。

 

第1段階は 符号化 = おぼえる

目や耳などから入ってくる情報を頭に入れる。

 

第2段階は 貯蔵 = おぼえている

頭に入れた様々な情報を蓄えておく。

 

第3段階は 検索 = 思い出す

頭の中に蓄えられていた情報を必要に応じて取り出す。

 

これら3つの段階をうまくクリアできたとき

ほんとうに記憶できたと言えます。

 

 

私は記憶力がよくないほうです。

先日ある研修で、4人グループになり

一人ずつ自己紹介をしてから

テーマについてディスカッションする場面があったんですが

 

みなさん初対面と思い込み

「初めまして、マツです!」と言いました。

 

すると中のお一人が

「前に○○で会ったことがあります」と…(う~ん、気まずい)

 

こんなことは日常茶飯事で

いかに私の物覚えが悪いかを証明しています。

 

ここまでではなくても

久しぶりに会った人の名前が

どうしても出てこないってことはありますよね。

 

これは、その人の名前をうまく記憶できなかった

ということでしょう。

それじゃあ、なぜ、そんなことが起こるのでしょうか。

 

先ほどお話した記憶の3つの段階で考えると

次のような可能性があります。

 

①その人と以前会ったときに、

名前をしっかり頭に入れておかなかった

=符号化の失敗

 

②一度は名前をおぼえたけれど

長い間会わなかったので忘れてしまった

=貯蔵の失敗

 

③頭の中にはあるんだけど

のど元まで出かかって

どうしても思い出せない

=検索の失敗

 

 

日本語学習者が正しい語彙を使えなかった場合

最初にちゃんと覚えていないのか?

一度は覚えたけど使わないうちに忘れたのか?

覚えているけど、すぐに出てこないのか?

 

どの段階にあるかによって

学習者にどんな練習が必要か

教師が考えるヒントになりますね。

 

 

記憶の話は非常に奥深く

日本語教育にも直結した話題なので

まだまだ続いていきますよ~。

 

それではまた来週!

 

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